プロペラの話

ベストマッチングなプロペラの選択方法・メンテナンス等について、ご案内します。

プロペラの話(2)

2. プロペラのピッチ

ピッチというのはプロペラが1回転したときに理論的に前方に進む距離のことをいいます。これはボルトのネジのピッチと、まったく同じ考えです。多くのプロペラには背面などに13とか12の浮き出し文字がついていますが、この数値はピッチをインチで表したものです。たとえば、13インチのピッチのプロペラは1回転すると、1インチは25.4mmですから、理論的には
13×25.4=330.2mm=0.33m
前方に進むことになります。しかし、実際にはロスが生じて、0.33mの60%~92%ほどが実際に進む距離となります。このロスをスリップといいます。スリップは推力を発生するために必要で、通常推力が多く必要なピッチの少ないプロペラほどスリップが多く発生することになります。したがってピッチの少ないプロペラはスリップが多くスピードがでないことになりますが、船を推す力が強いので重量船向きとなります。逆にピッチの大きいプロペラは船を推す力が少ないが、スリップは少なくスピードがでて軽量船向きとなります。用途に合わせてプロペラを選択することはたいへん重要です。

3. プロペラの傾斜角

プロペラを側方から見ると図のように後方に少し傾いているものが多くあります。これをプロペラの傾斜角(レーキアングル)といいます。傾斜角が大きなプロペラは急激な旋回でも推力を維持しやすく船外機の取り付け位置を通常より高い位置にセットすることが可能なため、水面下の抵抗を少なくしてスピードを向上させます。また、トリム角が大きくなってもレーキアングルの少ないプロペラより推力を失いにくくなります。 傾斜角が少ないプロペラは後進の推力に優れています。この傾斜角の少ないまたは傾斜角のないプロペラは作業船やセールボートに向いていることになります。