プロペラの話

ベストマッチングなプロペラの選択方法・メンテナンス等について、ご案内します。

プロペラの話(8)

  • 前号に引き続き、プロペラの緩衝ゴム(ラバーブッシュ)の話をします。プロペラの緩衡ゴムは使用中ときおりスリップ事故をおこす場合があります。この場合いくつか原因が考えられます。

    1. (1) プロペラが水中の障害物などに衝突すると前にご説明した通り、スリップする事によりギアケースなどの駆動系を守りますが、これを繰り返しますと緩衡ゴムが磨耗し、プロペラがスリップを起こしてしまいます(自動車のタイヤがすり減っているとスリップしやすいのと似ています)。水中の障害物などにぶつけたプロペラは性能も低下し、燃費も増え船外機を傷める可能性もあり、また、スリップを起こしやすくなるので交換が必要です。

    2. (2) プロペラの緩衡ゴムはプロペラに圧入され、圧縮されています。このゴムの反発力が摩擦力となるのですが、このゴムの温度が上がると急激にゴムの反発力が低下し、スリップしやすくなってしまいます。プロペラの緩衡ゴムが過熱しないように排気ガスで冷却しているのですが、ウォーターポンプインペラが磨耗したり、エンジン部の冷却系統がゴミや塩で塞がってしまったりすると、排気ガスが冷えないのでプロペラの緩衡ゴムの温度が上がってスリップしてしまいます。スリップを起こしたら、船外機の冷却系統の点検が必要です。

      しかし、プロペラにゴミが付着すると、あたかもプロペラがスリップしたかのように空転を起こしてしまいます。プロペラが空転したら、まず船外機をチルトアップし、プロペラにゴミが付いていないかどうか点検が必要です。ゴミが付着していないのにエンジン回転を上げてゆくと途中で急に空転する場合は、スリップの可能性があります。その場合スリップしない範囲の低い回転で運転し、帰港後ただちに交換し、冷却系統のチェックが必要です(スペアのプロペラを搭載しておけば更に安全です。ただし帰港後の冷却系統のチェックは必要です)。